正しい『玉の輿』の乗り方

二人は愛のない政略結婚だと勝手に決めつけていたけれど、それは私の願望に過ぎなかった。
ああ…これでようやく私も吹っ切れるのかな。

そんなことを考えていたら、私のデスクの内線が鳴った。

ボンヤリしていた私の代わりに、樹さんが受話器を取った。

「はい。宮内です。え? ツーイーストの白崎社長から綾野あてに?」

樹さんが不思議そうに私を見る。
私はドキッとしながら目を泳がせた。

「いいよ。とりあえず繋いで」

そう言いつつ、私に取り次ぐつもりはないようだ。
どうしよう。
何だかややこしいことになりそうだ。

「もしもし、お電話代わりました。副社長の宮内ですが……うちの綾野にどういったご用件でしょうか?」

樹さんが白崎社長と話し始めた。

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