正しい『玉の輿』の乗り方

そして、3分後。
樹さんは電話を終えると、ジロリを私を睨んできた。

「おまえ、いつの間に白崎社長と親しくなった? プライベートの誘いだからまたかけ直すって言ってたけど……どういうこと?」

「そ、それはですね、昨日帰るときにホテルの廊下で転びそうになってしまって。それがきっかけで親しくなったというか……なんというか」

「ふーん。で? 会って早々口説かれたんだ?」

「ど、どうなんでしょう……。タイプだとは言われましたけど」

「却下」

樹さんはすかさず口にした。

「え?」

「ただのナンパだろ? どうせ向こうは遊びだよ。悪いけど、そんなチャラチャラした軽い男におまえを紹介する訳にはいかないから。あいつのことは諦めろ」

「そんな………」

「いいか、菜子。連絡が来ても俺に黙って勝手に会ったりするなよ? 分かったな!」

おっかない顔で睨まれて、私はそれ以上何も言えなかった。

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