クールな次期社長と愛されオフィス
包みを開けていく部長を見つめながらドキドキしていた。

宇都宮家で育ってるから、きっとどんなものも手に入れているはず。

オルゴールだって両手に収まりきれないほど持っているかもしれない。

今更ながら、部長に贈り物なんて大それたことをしちゃったなと思いながら。

キラキラ輝くオルゴールが箱から出てくる。

リビングの照明が一層その輝きを際立たせていた。

「オルゴールか?」

部長はテーブルの上に置き、ねじをゆっくりと巻く。

アメージング・グレースが静かに部屋に響きはじめた。

部長は目をつむり、じっと聞き入っている。

音が終わると、部長はゆっくりと目を開け私を熱く潤んだ瞳で見つめた。

「ありがとう。嬉しいよ。すごく」

そして椅子から立ち上がり私のそばに来ると、私の手を取り自分の胸に引き寄せる。

「誰かにこんなにも心のこもった贈り物をしてもらったのは初めてだ」

部長の胸の鼓動なのか私のドキドキなのかわからないくらいに抱き合う体が脈打っている。

「俺も、アコに負けないよう自分の夢に進んでいかなくちゃな」

「部長の夢はなんですか?」

震える胸を紛らわせようと尋ねてみた。

「今立ち上げているプロジェクトを成功させ、その勢いで世界中に日本のすばらしさを広めることだ。日本が誇る良質な食材をなるべく低価格で多くの人達に味わってもらいたい。一部の人間だけでなく皆が食する喜びを味わい分かち合える場所を提供したいと思ってる」

部長の夢はとても壮大で私の想像を遥かに超えていれけれど、その思いにとても共感できた。

一部の人間だけでなく皆が笑顔で集える場所を作りたいっていうのは、私の夢の最大目標でもあったから。

「アコも自分のカフェを持つ夢を必ず実現しろよ。俺はいくらでもアコのために援助する用意はできるが、敢えてしない。それはアコも望んでいないだろう?でもアコなら自分一人の力で成し遂げられると信じている。ただ本当に困った時はサポートするからいつでも俺に頼れ」

「はい」

私は部長の胸で頷く。

そんな言葉をくれた部長がどれほど自分の一番の理解者で心の支えになっているかをあらためて感じていた。


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