秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

泣きそうになりながら運転席の海斗さんを見上げると、感情の読めない目で微笑まれた。

そして‥


「九条さん。
‥俺と付き合ってくれませんか?」




言葉の意味を直ぐには理解できずに、
たっぷり瞬きを4回はした。

九条さんの顔からは、さっきまでの意地悪そうな顔はすっかり消えている。

これって、交際の申し込み?
こ、この流れで?


「あの‥私の事、からかってます?」

意地悪な海斗さんの事だ。十分有り得ると思いそう尋ねると、不快そうに目を細められた。

「真剣に言ってますよ。こんな事でからかったりすると思います?」

言われて首を横に振った。

海斗さんならやりかねないと思ったなんてことは口に出さない。

< 159 / 276 >

この作品をシェア

pagetop