秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
泣きそうになりながら運転席の海斗さんを見上げると、感情の読めない目で微笑まれた。
そして‥
「九条さん。
‥俺と付き合ってくれませんか?」
言葉の意味を直ぐには理解できずに、
たっぷり瞬きを4回はした。
九条さんの顔からは、さっきまでの意地悪そうな顔はすっかり消えている。
これって、交際の申し込み?
こ、この流れで?
「あの‥私の事、からかってます?」
意地悪な海斗さんの事だ。十分有り得ると思いそう尋ねると、不快そうに目を細められた。
「真剣に言ってますよ。こんな事でからかったりすると思います?」
言われて首を横に振った。
海斗さんならやりかねないと思ったなんてことは口に出さない。