秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

「でもありがとう、いただきます」

そう言って手を合わせてから、
チャーハンを口に運んだ。

「んん~~、美味しい!」

素直な感想が自然にこぼれる。すると、
柊ちゃんがホッとしたように微笑んだ。

やっぱり美味しいな、柊ちゃんのチャーハン。

料理は基本的に苦手な柊ちゃんが、
どうしてこれだけ卓越して得意なのかが不思議すぎる。

そんな事を思いながらパクパク箸を進めていたら、あっという間にチャーハンはなくなってしまった。

空っぽになったお皿を見て俯く。

‥もう少し味わって食べたらよかった。

柊ちゃんのチャーハンが食べられる事なんて、もうあるかどうかもわからないのに。
< 201 / 276 >

この作品をシェア

pagetop