秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

柊ちゃんが発したウサギリンゴという言葉に思わず声を上げた。

目の前に並べられたリンゴをじっと見つめる。

「これって、ウサギなの?」

「そうだけど」

「‥‥‥‥。」

申し分程度にリンゴに残された皮は、
確かにウサギの耳に見えなくも‥‥‥‥ううん、やっぱり見えない。

思わずこらえきれなくて吹き出すと、柊ちゃんに軽く頭をポカっと叩かれた。

「なに笑ってんだ若菜、俺の力作だぞ~」

「ごめん。うんうん、見えるよ。ウサギにしかみえないもん、これ」

「それ絶対馬鹿にしてるだろ」

「ごめん、しちゃった」

「おい、正直に言うな」

そう言って柊ちゃんが笑う。
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