秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
若菜の声がいつもよりずっと近くで響く。
本当は、このまま若菜を抱きしめたい。
誰にも渡したくない。
同じ部屋に泊まって、そしてこのままこの船が何処にもとまらなければいいと思う。
だけど、
そんな事を願うにはもう遅すぎた。
今夜一緒にいたら、
多分俺は自分を抑えられない。
理性が効かない。
きっと若菜を傷つけるし、
海斗さんに謝っても謝りきれない。
俺は、思わず若菜を抱きしめようとした腕の動きを止めた。
「俺も若菜も、もう子供じゃないんだ。
こんな日に若菜と同じ部屋に泊まったら、
俺は…海斗さんに合わす顔がない」
そう言ってそっと掴んでいた若菜の手を離すと、若菜もゆっくりと俺にもたれていた体を離した。
だが、
俺を見上げる赤い目はきょとんとしていた。