半身。然るに片羽。
「一葉」
オトンに小さく呼ばれた。
「なに?」
俺は少し大きめの学ランをちょっと引っ張って廊下に出る。
「オカンがな。人に酔ったのか、もどしちゃって…」
優しいオトン。
自分の事のように顔色も悪い。
それに俺にいちいち断らなくて、先に帰っても構わねーのに。
「分かった。終わったらちゃんと帰るから」
俺が言うと
「悪いな」
オトンは俺の頭に手をかけた。
「…ッ‼︎」
どうにか声を絞り出す。
「……別にいいよ」
つうかそんな事よりも、恥ずかしいから早くこの手をどけろって‼︎
とは口に出せずに、項垂れて下向くのが俺には精一杯だった。