雪のなかに猫
あれから2ヶ月、何事も無かったように過ごしていた。だけど、ひとつ違うことがある。よる、まことさんが頻繁に出かけるようになった。
今日もそうだ……午後4時くらいから出ていったきり、日にちが変わろうとする時間なのに帰ってこない。それに、遅くなる時は必ず連絡してくるのに……
「モモ……誠さんおそいねー。9時には帰ってくるって言ってたのにねー。先に寝ちゃおっか!」
そう言って膝に乗せていたモモをだき抱える。モモは大人しく抱かれている。1つ欠伸をして立ち上がろうとしたら鍵が開く音がして誠さんが帰ってきた。
「え?遥にモモ?どうして玄関に……いるの?」
「ニャー」
モモはやっと帰ってきた。という様に一鳴きしてから私の腕から抜け出しリビングに戻って言ってしまう。
「も、モモが……モモが玄関で待ってよっ!って………」
なんてキツい言い訳だ。と思いながらも顔を伏せながら言うと。誠さんは笑って私の頭を撫でる。
「ごめんね。連絡するの忘れてた……てっきり寝てるのかと思って……」
寝ててもよかったのに。と言いながら私の手とさりげなく繋いでリビングに歩く……リビングについてカバンを置きながら質問してくるので答えた。
「ご飯食べた?」
「食べてない。」
「食べないとダメだろ?そうだ……食べに行く?」
夜遅いけど、と苦笑する誠さんに私も苦笑しながらもどちらでもいいと言うと誠さんはどこかに電話してから、私の手を取り玄関に歩いていく。
そして、家から出て車が止まっているのを見て躊躇いもなく車に乗り込む。
わたし、車の車種?とか詳しくないけど……この車が高級車だということだけはわかった。だって……小さな冷蔵庫があるもん。座席なんてふわふわだし……
「こんばんは、誠……って彼女!?」
「んー。そんな感じ?」
「いえ、居候させていただいてます。はい。」
そんな感じ?と私に聞いてきたので私は真顔で言うと少し膨れる誠さんに運転席に座っている人が苦笑しながら
「俺は、立花奏(たちばなそう)といいます。宜しくお願いします。」
「え、あ。遥です。宜しくお願いします」
「よし、奏お前今日から運転手やめていいよ?」
「え!?なんで!?まさか……遥ちゃんと話したから?」
立花さんがそう言うとにっこり微笑んだまま何も言わない誠さん。立花さんは吹き出して笑う。だから………
「うるさい。ほんと首な……」
「え、ごめん!もうきっと言わないから……ね?誠ちゃん許して?ね?」
と、会話する2人が面白くて笑っていたのはひみつの話。