理系教授の秘密は甘々のはじまり
すっかり舞い上がった葉山は、いつもの葉山らしくない行動をとっていた。

彼女(鈴木)の跡をつける。まるでストーカーのようだったが、すっかり恋愛スイッチが入った葉山は気づいていない。

彼女は葉山に告げた通り、一駅先にある古本屋に立ち寄った。そのまま少女漫画コーナーに向かったが、見つからなかったのか店員に在庫を確認していた。

店員が首を振っている。どうやらここには売ってないらしい。がっかりした様子で彼女が店を出てきた。

"俺に譲ったせいで"

葉山はその漫画コミックを彼女に譲る決心をした。

彼女が次に向かったのは、三駅戻ったところの駅周辺にあるスイーツ店。

店内でケーキとマカロンどちらを購入しようか迷っている姿が実に可愛い。

いつも1つ結びにしている髪をその日は下げていた。頬にかかる髪をかきあげて耳にかける姿が色っぽい。

これまでも可愛いとは思っていたが、恋愛を諦めていた葉山は必要以上に鈴木に絡まないようにしていたのだ。

そのストッパーが外れた頭には、彼女の良いところしか浮かばないし、見えなくなっていた。

彼女がケーキとスムージーを買って店を出てきたのを見計らって、葉山はすぐさまマカロンを購入し店を出る。

"よかった、まだ彼女を見失っていない"

公園通りを抜けて、お洒落なマンションの前に来たとき、彼女がバッグからカードを取り出そうとしているのが見えた。

「す、鈴木さん」

葉山は、意を決して先程譲ってもらった漫画コミックとお礼のマカロンを渡した。

一瞬驚いた顔をしたが、彼女は葉山の好意を受け取ってくれた。

"鈴木は見た目や趣味で人を判断しない"

葉山の期待は確信にかわった。

しかし、彼女には警戒心が欠如している。

自分のやっていることを棚にあげて、葉山はそんな心配をしていた。

ベランダで洗濯物を取り込む彼女を見て、住んでいる部屋を確認すると、葉山は"鈴木を俺のものにする"作戦を立てるべくその場を後にした。
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