理系教授の秘密は甘々のはじまり
それからの葉山の行動は早かった。

まず、週末の学会に同行させるはずだった早島に緊急の課題を与える。そして、共同研究者である鈴木波実を代打としてあてがう。

予約していた新幹線とホテルの部屋を一旦キャンセルし、どちらも隣同士なるように調整した。

いつもは単独行動をとり、出張先でもその道中でも本や漫画、ゲームに触れる時間を確保するようにしていた。

葉山が一人で何をしているかは別として、単独行動を好むことを知っている鈴木は、最初、葉山が普段と違う行動を取ることに戸惑いを隠せないでいた。

しかし、何事にも適応しやすい性格なのか、教授である葉山に遠慮しているからか、葉山の言うことにはすべて従う従順な姿を見せていた。

葉山はそれにつけ込んでいく。

夕食に誘い、本屋に誘導して、葉山が漫画好きであることを仄めかして反応をみた。

あきれることもなくすんなり受け入れる鈴木。

相手がイケメンの葉山でも反応が変わらない。ますます葉山は鈴木波実を愛しく感じていた。

そして、先程。
明日の学会発表の練習と称して波実の部屋に潜り込んだ。そう言えば、義理堅い鈴木は葉山を無下にできないと確信していたから。

「波実,,,」

京都に向かう新幹線で、偶然にも二人の唇が重なった。
二人とも事故ということで、その事には触れずに学会会場へ向かった

可愛い波実を一人にしている間、葉山は気が気ではなかった

葉山はゆっくりと、隣で寝ている波実の唇をなぞる。

「ん,,,」

波実は肩をすくめたが起きる様子はない。

葉山は優しく重ねるだけのキスをした。そしてスマホを起動して寝顔を写真におさめる。

「波実は俺のもの,,,覚悟しろよ」

波実を自分の胸に引き寄せると、その細い腰を抱いて葉山もゆっくりと目を閉じた。


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