理系教授の秘密は甘々のはじまり
タクシーは京都市内のU区に着いた。
目の前には、古典"源氏物語"にも出てくるN宮神社。

波実は、瞳を輝かせると

「ここは、あの源氏物語の漫画に出てきた神社ですね。光源氏が六条御息所を訪ねる場面で出てくる,,,」

「そう、俺も読んだ。だからいつかここに来てみたかったんだ。男一人じゃ恥ずかしくて来られないからな」

真澄がそんなことを気にするとは意外だったが、目の前にある黒木鳥居に目が釘付けになる。

真澄と波実は、鳥居の前でお辞儀をすると鳥居の端から境内に入った。

そこはパワースポットと言うだけあって、かなりのエネルギーを感じる。

手水所で手水をしたあと、神殿の前でお賽銭をいれ二礼二拍手一礼をする。住所と名前、日頃のお礼を伝える。そして本命のご利益巡り。各神様の前で願い事を唱えると、くまなく境内を見てまわった。

波実が神社のパンフレットを読んでいる間、真澄は御守りを購入していた。

「最後にこの神石を撫でると願いが叶うらしいぞ」

そう言って真澄は、神石をなでる。それに倣うようにして、波実も神石を撫でた。

ここはたくさんの神様が祀られているが、恋愛の神様が有名だ。

"私にも少女漫画みたいに素敵な人が現れるといいな"

波実はそんな大まかなお願いをした。

しかし、その横では、真澄が真剣に波実との良縁を願っていたことに波実は気づいていなかった。

「これやるよ。御守りだから肌身放さず持っておけよ」

渡されたのは、厄除けと縁結びの御守り。波実は素直に受け取って笑顔を見せた。

「ありがとうございます。大切にしますね」

もちろん、波実は気づいていない。縁結びの御守りの片割れを葉山が持っていることに,,,。

< 34 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop