理系教授の秘密は甘々のはじまり
土曜の高級旅館は、家族連れや恋人同士と思われる客が次々とチェックインしてきていた。

真澄と波実は連れだって本館の露天風呂に向かった。そこで、一人の女性が真澄を呼び止める。

「真澄さん、ようこそおいでやす。今日はお連れの方がおるんやね」

綺麗な和服に身を包んで、凛とした姿の京美人が二人に向かって丁寧にお辞儀をした。

「綺麗なお嬢さんやわー。真澄さん、お夕飯の後にでも話を聞かせてくらはりますよね?」

女将と名乗ったその人は田城美鈴さん。真澄に体を寄せて尋ねる様子は相当親しそうだ。

真澄と同じ年齡くらいで、生粋のお嬢様育ちというのがその振るまいから分かる。

近すぎる二人の距離に、何となく疎外感を感じて

「女将さん、本日はお世話になります。真澄さん、お先にお風呂に行かせていただきますね」

「上がったらそこの休憩室で待ってろ」

真澄の言葉に頷くと、波実はそそくさと女風呂に向かった。
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