理系教授の秘密は甘々のはじまり
学会会場へはタクシーで移動した。教授の葉山は学会の理事会に参加するとかで、波実とは別行動になる。

一人になれるとほっとした波実に、葉山は驚きの一言を発した。

「鈴木、ホテルのチェックインは一緒にしよう。その後の食事も一緒にいくぞ」

「え、教授は理事会の方々との親睦会があるんじゃ,,,」

「こんなところまで来て、なんでおやじ達と飲まなきゃならないんだ」

そう言いながら、葉山は上着のポケットからスマホを取り出した。

「17時に連絡する。スマホを貸せ」

波実がオドオドとスマホを取り出すと、葉山はすかさずそれを取り上げ、あっという間にお互いの連絡先を登録した。

「じゃ、後で」

相変わらず葉山は無表情だったが、何故か機嫌が良さそうに見えた。

葉山の後ろ姿を見送った後、波実は学会抄録を広げて、お目当ての演題発表のある会場を探すことにした。
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