七色ペンダント


微かに“太一”と呼ぶ声が聞こえる。



そしてしばらく進むと、人通りのない道に太一くんの母親らしき女性がいた。



「お母さん!!!」



「!!!! 太一!!!」



母親が、太一くんに駆け寄ろうとしたその時、彼女の背後に菅笠(すげがさ)で顔を隠し、刀を持つ男がたっていた。



辻斬りだ ────



瞬時に私はそう判断した。



刀を振ろうとする場面が、まるでスローモーションのように見えた。



どうしよう、刀持ってきてない...!!



そんな考えをする前に、私の身体は動いていた。

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