恋の3択

月曜は、陸上部の朝練に合わせて
学校に来た。

慣れないコンタクトで、ちょっと目を
パチパチさせながら、かいとの姿を
書き写す。

デッサンだけでも、何枚も書く。
ちょっと雨が降りそうかな…
もう練習終わりだろうか。
少し早く切り上げる気配なので、
あたしもそろそろ…と、思っていたら
教室のドアがガラッと開いた。

ビクッとして、振り返ると。
春樹だった。

向こうも、え?と、固まっている。
あれ?おまえ…さきだよね?

何言ってんのと、言いかけて気がついた。

あたし、コンタクト…。
でもってショートだった!

な、何そんな驚いてんのよ!
メガネ壊しちゃっただけだよ。
と、昨日考えた言い訳を言った。

…ふぅん?

何よ?

春樹の顔が、バカにしてる顔ではないのが
妙に気になった。
なんだか、悲しそうな…?
と、思ったら

ニヤっと笑って、
かいと、ショートカット好きだよ。と言った。

え?うそ。と、つい言ってしまった。

そこに…また教室のドアが開いて。
おはよーと、入って来たのは…
かいとだった。


なんか、俺の名前聞こえたけど?と、笑って
春樹に話しかけた。

そして、あたしを見て驚いた顔をした。

え?宮越?

突然現れたから、あたしもビックリしたまま。

め、メガネ壊しちゃって…
と、また同じ事を言った。

へぇー。と、言いながら、まじまじと
あたしを見る。

心の中で、み、見ないで…と叫んでいたら。

なんか、違う人みたいだなー。
ショート似合うじゃん。と、
照れたように笑った…。

か、神さま…。ありがとう…。
生きててよかった…!







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