35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
「ーーー朋花ちゃんも無茶するな」
私から視線を移した真島さんは朋花さんの頭にそっと手を乗せ一度だけ髪をくしゃっとしてすぐに手を離した。
「・・・はい」
小さく頷く朋花さん。
真島さんは柔らかい表情だし、朋花さんはまるで少女のようにあどけなく頬を染めている。

ん?これどういう状況?
ーーーもしかして?

「かっなさぁーん!」
私の中で妄想が広がり始めようとしたところで邪魔が入った。
通路から走ってきたのは青山慶太君。
相変わらず、生きのいい青少年だ。

「僕、今から映画祭が終わるまで果菜さんと朋花さんのお目付け役兼、ボディーガードに就任しました。いまからエスコートさせていただきます!」
ん?エスコートですかぁ?

チラリと真島さんに視線を送ると、私の視線の意味に気が付いた真島さんがくくくっと笑い始めた。
いやいや私の視線の意味が分かるのなら初めから他の人ってわけにはいかなかったのか?

「青山、果菜さんと朋花さんのエスコートはしなくていい。お二人の後ろについてボディーガードに徹しろ」
えー、エスコートしたかったのにぃと唇を尖らせる青山君。

「お前じゃガキ過ぎて果菜さんのエスコート役には10年早いんだよ」
真島さんがそう言うと、青山君はむすっとした。

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