35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
「俺よりかなり年下だと思うんですが、・・・確かにそんな感じかもしれないです」

「なんだかね、本心出してもいいんじゃないかって思わせちゃうんだよね。僕は彼女の先輩の亭主だからよく知ってるんだ。でも、今日彼女が大きな捨て猫を拾ってきたのには驚いたな」

捨て猫ってもしかして俺のことか。

「上夕木さんのこと"路上に落ちてた"って彼女が言ってたから」くくっと先生が笑う。

「落ちてた・・・」落ちてたのか、俺。

「いろいろな年代の患者さんから懐かれているよ。でも何だろうね、結構きついことも言うんだよ。あの子、優しいばかりじゃないからね。僕なんて僕の方が雇用してるのにそんな気がしない時もあるんだよ」
はあっとため息をつく先生に苦笑した。

「でも、拾ってもらったのが彼女でよかったね。彼女じゃなかったら救急車と警察が来ていたかも。それこそ大事になっていただろう」
「はい、本当に助かりました。彼女に十分なお礼も言わずに出て来てしまって申し訳なく思っています。先生からお伝えいただけますか?」

ペコっと頭を下げると、
「伝えとくよ。捨て猫がお礼を言ってたって。それ持って帰ってあげてね」
と紙袋を指した。


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