35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
全くこいつはと思うけれど、さっきまで緊張して泣きそうだった果菜ちゃんがタカトと話しはじめるとリラックスしたのか、楽しそうに二人でじゃれ合いタカトの背中をバンバンと叩きはじめて。
ああ、果菜ちゃんが心を許しているのはやっぱりタカトなんだなと再確認して胸がチクリと痛む。

だから、多少の嫌がらせも許されるだろう、失恋の腹いせだ。
撮影ポーズを際どいものにした。
タカトと前後から果菜ちゃんを挟むように抱き締める。
タカトは果菜ちゃんの正面から腰を抱いて。俺は背中から果菜ちゃんのウエストに手を回して抱く。

二人の男が彼女と同じ距離感でなければいい画が撮れない。

ニヤリとしてタカトを見ると怒りに燃えた眼をして睨み返してくる。
その反応に満足して彼女のウエストを抱え直した。より一層タカトがピリピリするのを肌で感じる。
この程度許せよと思うけれどアイツは果菜ちゃんに対して抑えがきかない。
撮影後には彼女を肩に抱えて拐うように帰って行った。

ごめんね、果菜ちゃん。
しばらくタカトに苛められるんだろうな。
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