未来を見るなら、君と一緒に
「質問攻めに会うのも面倒でしょ?荷物持ってきてあげるから帰りな」


「ありがとう。瑠美」


「取ってくるから待ってて!賢晴くんも、ほら!出るよ!」



賢晴さんの背中をボンっと叩いて、一緒に部屋を出ていく。



「陽くん……」


「潤……」



2人だけになった部屋の中。
お互いがお互いの名前をただ、口にする。



「びっくりしたよ。賢晴さんと一緒に最初入ってきたとき」


「賢晴にね、みんなに別れたこと知られたくないから今日だけまだ彼女のフリしてくれって言われて……それが罠だったなんてね」



そう話す潤はやっぱりどこか傷ついた顔をしている。



「もう好きじゃないとはいえ、ずっと好きだったひとだし、傷ついてないわけないよな?」



いくら、賢晴さんのことを最低だと思っていたとしても。
いくら、もう賢晴さんへ気持ちがないとしても。

俺がみてきた潤は、たしかに賢晴さんのこと大好きだって伝ってきてたから。



「まぁ、ね。まさか大学のころから裏切られてたなんてね。しかも瑠美と」



はぁーっとその場に座り込む。

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