未来を見るなら、君と一緒に
......................................................



「大丈夫だよ。潤。これも全部意味があることなんだから」



座り込んだあたしに手を差し伸べてくれる。



「ありがとう。陽くん。陽くんがいてくれてよかった」



陽くんは、やっぱりあたしの道しるべだ。
彼がいるだけで全然違うんだ。
目の前が明るくなる。



「大げさだよ。俺なんて普通のことしかしてないよ」



どこまでも謙虚な陽くん。



「荷物も来たし帰ろうか」



さっき差し伸べてくれた手であたしの手は握られたまま。

陽くんの手はいつも暖かい。
大好きな手だ。

陽くんはあたしのことを裏切るはずなんてない。
それはわかってる。

それでも、まだあたしには前に踏み出す勇気がない。



「陽くんは、好きな子とかできた?」



なんて、聞きたいと思ってないことが口からスラスラと出てしまう。

どこまで、あたしを苦しめるんだろう。
賢晴との思い出ってやつは。

< 147 / 176 >

この作品をシェア

pagetop