君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
けれども、哲也とはただ彼氏と破局したという程度ではない。

互いの両親の前でふたりで未来を築いていく約束までしたのに、あんなことになってしまった。
“絶対”なんてないのだと思い知った。


「シワが寄ってる」


彼は私の眉間を指で突っつく。


「俺はどんどん気持ちを伝えていく。でも葉月は迷惑なら迷惑と言えばいい。そんなことを言われたくらいではあきらめないけどね。商社マンらしく、次の一手を講じるよ。仕掛け倒すから」


彼が茶化してくれるので、やっと雰囲気が和んだ。


「というわけで、来週末も散策の予約していい?」
「来週……」
「予定ある?」
「いえ、特には」


この先もずっと土日のスケジュール帳は真っ白だ。
哲也と別れてから、ずっとこんな調子。時々沈んでいる私を心配して静香が誘ってくれるけれど、彼氏がいるのに悪くて断ることが多い。


「よし、決まり。なにしよう。ワクワクする。遠足前の小学生みたいだね、俺」


彼が本当に喜んでくれているのを見て、ちょっぴり心が弾んだ。
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