君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
それからオムレツとトースト、そしてサラダをすべて食べてくれた。


「チーズ入り、うまいね。俺の手伝ったサラダはどう?」
「レタスちぎっただけですよね?」


私より随分不器用な彼は、なかなか料理も上達しない。
だけど、誰だって得手不得手はあるのだから、互いに足りないところを埋め合って生きていければいい。

彼ができないところを埋めるほど、私が料理上手ではないところが痛いけど。


「今度はトマトを切るよ」


おそらく悠馬さんも、暗くならないように気を使ってくれている。
だから私も笑顔を必死に作った。


「それじゃあ、行ってくる」


約束の十一時半まであと一時間。
彼は私を心配げに見つめてから出ていった。

今日は、ここから車で四十五分ほどのところにある、とある老舗料亭で、お相手とふたりだけでお見合いをするらしい。

政治家もよく利用するというその料亭の前を通りがかったことがあるけれど、門構えからして立派で、庶民が近づいてはいけないような雰囲気だった。

さすがは一ノ瀬家だ。
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