君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
唖然として立ち尽くしていると、タクシーは女性だけを乗せて走り去った。
そして残った悠馬さんが私に気づき目を見開く。


「葉月」


彼はいつものトーンで私の名前を呼び近づいてきたが、私は彼に背中を向けて走り出した。


「葉月?」


カツカツカツと革靴の足音がして彼が追いかけてくるのがわかる。

追いつかれないようにと必死で走っていると、傘が風で飛んでしまい、おまけにパンプスが片方脱げてしまった。

それでも止まれない。


私はなんて愚かなの? 何度失敗を繰り返したら懲りるの?

あふれてくる涙が雨と混ざり合い、地面に落ちていく。
このまま溶けてしまいたい。いなくなってしまいたい。


「葉月!」


そのとき、とうとう追いつかれてしまい腕をつかまれた。


「どうしたんだ?」


恐る恐る悠馬さんのほうに視線を向けると、彼もまた傘をさしておらずびしょ濡れだ。


「離して!」


腕を振り彼の手を振りほどいた瞬間、今度はうしろから抱きかかえられてしまう。
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