君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
それで話しかけてくれたのだが、他に接点もなくそのときはなにも起こらなかった。

三年生になったときに始めた塾の講師のアルバイトに彼もいて、そこからとんとん拍子に付き合いが始まった。

アウトドア派の哲也は、私に知らない世界をたくさん見せてくれた。初めてスキューバーダイビングもしたし、スノボも経験した。

その頃からわりと好奇心旺盛だった私は、新たな世界を知ることが楽しくて、彼と一緒にいられることに幸せを感じていた。

就職してからは互いに忙しくなってしまったので、なかなか遠出もできなくなったが関係は続き、このまま彼と一緒に生きていくことを決めたのだ——。



「電話してみるか」

静香に指摘されたその日、私は久々に哲也に電話を入れた。だけど留守番電話に切り替わってしまったので、伝言を残すことなく切った。

着信履歴は残るだろうから、かけなおしてきてくれるはずだ。
今までもそうだったし。

そう思ったものの、とうとうその日、電話が鳴ることはなかった。
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