君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「だから、結婚しなかったと聞き、不謹慎だけどすごくうれしかった。ごめん。北里は苦しんだのに」


実に正直な告白に首を振る。

たしかに苦しくてたまらなかった。だからそれを喜ばれるのは複雑だ。

けれども、そこまで私のことを思っていてくれたんだと思うと、非難できない。


彼は手の力を緩め、ゆっくり私を引き離して、まっすぐな視線を送ってくる。


「髪、そのときに?」
「はい。区切りをつけたかったんです。でも、まだくよくよしてしまう自分が嫌いです」


彼が包み隠さず告白してくれるのに、嘘はつけない。


「そんなのは当然じゃないか。嫌いにならなくていい」


一ノ瀬さんは私の髪をスーッと撫でたあと、頬に触れる。


「俺と、始めないか?」


彼の熱い気持ちがうれしくてたまらない。
だけど私は……。


「もう、無理です。恋はしたくない。私には、仕事があればいい」
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