君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
「それは違う。婚約者は自分の失態を北里のせいにしただけだ。他の女に手を出しておいて北里に文句をつけるなんてありえない。ぶん殴ってやりたいくらいだ」


彼は怒りをあらわにして自分の膝を叩いている。

そう言ってくれる人がいて、とてもうれしい。
だけど哲也の言葉が強烈すぎて、簡単には立ち直れない。


「いえ。私は失敗したんです。結婚という人生の大きな節目に、恥ずかしい失敗を」


だから婚約がダメになったことも、しばらくの間静香にも言えなかった。


「失敗、だったのかな」
「えっ?」
「失敗だったかどうかは、この先の人生にかかっているんじゃないか?」


それは、この先幸せになればいいと言っているの?

だけど、大きな挫折をしてしまったので、心が前を向かない。


「それに、失敗は恥ずかしくないぞ」


彼はそれまでとは違う柔らかな声色で私に伝える。

そういえば彼も仕事でミスを犯して損害を出したんだった。
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