君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
だけどそれは仕事をしていれば、誰にだってその可能性が付きまとう。
それに比べて婚約破棄なんて、そうそうあるものじゃない。

そう思ったけれど……。


「俺も失敗した。あのとき、婚約者から奪えばよかった」
「一ノ瀬さん……」


彼は仕事ではなく恋愛の話を始める。

それが私を慰めるためだとわかっている。
だけど、ほんの少し張り詰めた心が緩むのがわかった。


「俺は、もう二度と後悔するのはごめんだ。絶対にお前の心を手に入れる。俺がお前を幸せにする」


絡まる視線から優しさが伝わってくる。
気がつけば、いつの間にか涙が止まっていた。


「よし。飲むか。今日は泊ってけ」
「は?」
「俺も飲んでるし送っていけない。大丈夫。ちゃんとイエスと言わせてから抱く」
「抱く……!?」


そんなにはっきりと。耳まで赤くなっている自信がある。


「はははっ。やっぱかわいいな、お前」


彼は動揺して目をキョロキョロさせている私を見て盛大に笑う。
< 94 / 315 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop