愛してるのに愛せない。
駅に着いた私が見たのは、駅の入り口の端の方に並んで座る昨日の三人。
まだいたんだ。
そう思いながら、無意識に左手首を擦っていたことに気づいた。

「・・・。」

私には関係ない。と、無視をして通ろうとしたら

「昨日の子だ。」

という声。
思わずそっちを見てしまったのは、条件反射だと思う。うん。
そして、

「・・・小百合・・・。」

悲しそうな切なそうな顔をしながらこっちを見る竜王に

「だから、違うって!ごめんね「そんなに似てますか?その人と。」

そう聞いてしまったのも条件反射だと思いたい。

「・・・あぁ。似ている。」

「・・・。」

苦しそうに笑う竜王に思わず、私まで切なくなった。

「・・・そうなんですね。」

「・・・あぁ。」

そう言う竜王は、私から目を逸らさない。

「・・・私も、そんな風に誰かに愛されてみたい・・・。」

そんな竜王に思わず心の声が洩れてしまった。

「え・・・?」

その声を聞き逃さなかった、副総長の海斗さん。

「・・・いえ、こっちの話です。それじゃ・・・。」

そう言った私の腕を掴んだのは、

「どこか行くの?」

幹部の陸さんだった。

「はい。ちょっと遠出しようと思って。」

そう言った私が馬鹿だったのかもしれない。
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