愛してるのに愛せない。
「どうなんですか!?」

「ちょっと!!こーさん!!」

こーさんと呼ばれる運転手さんの名前は、浩二さん。
いつの間にか打ち解けて、良助くんの次に私を認めてくれた人。

「おい、着いたぞ。」

そう言われて車が停まる。

「降りろ。」

良助くんとこーさんが先に降りる。
私も続いて降りると、目の間には美容室。

「・・・髪切るの?」

「お前がな。」

そう言うとお店の中に入っていく。
私は何がなんだか分からないままただ着いていくだけ。

「じゃあ、お願いします。」

「はいはい。」

店員さんにされるがまま、私は椅子に座る。

「じゃ、やっていこうか。」

そう言って笑うきれいな店員さん。

「あ、の・・・お金・・・。」

「あぁ・・・気にしないで?馬鹿な弟がお世話になったお礼よ。」

「弟?」

「良助。」

「え。」

「私、良助の姉の玲子。よろしくね?竜姫のくーちゃん!」

玲子さんは、女の私でも見とれてしまうくらいにきれいな人だった。
テキパキと髪を切ってくれる。
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