愛してるのに愛せない。
「くーちゃん、本当に小百合に似てるわね。」

「・・・・。」

そう話しながら、髪をセットしてくれる。
姉に似ているのは仕方がない。
それは変えられない。

「・・・でも・・・。」

そう口にした玲子さん。

「でも?」

「・・・・・くーちゃんが、竜王の光になってくれればいいなって思う。
辛くなったら、頼りなさい。
ちょっと頼りないけど、良助だっているんだから。」

そう言って微笑む玲子さん。
その笑顔に、私は、力なく微笑み返す。
私は私。姉は姉・・・でも、咲にとっての私は、姉の代わり。

「できたよ。」

「うわぁ・・・・。」

綺麗にセットされた私の髪の毛。

「メイクしましょ。」

そう言って玲子さんは、私にメイクをしてくれる。
テキパキとしていく玲子さん。

「ふふ・・・・今のあなた、小百合さんより、綺麗よ。」

そう言いながら鏡を見せてくれる。

「すご・・・。
私じゃないみたい・・・。」

「自信を持ちなさい。
あなたは、強く美しい女よ。」

そう言って私を立ち上がらせてくれる。
これは、私からのプレゼントよ。
そう言って、白地に花柄のワンピースを渡してくれる。

「いいんですか?」

「もちろん!
良助たちが戻ってくる前に着替えてきな。」

奥の部屋へと案内される。
お言葉に甘えて、私は早速着替えた。

「かわいい。」

鏡に映る姿に微笑む。
久しぶりにこんなにかわいい服を着た。
いつもジーパンにTシャツとラフな格好ばかり。

「着替えた?
良助たち来たよ」

「はい!」

そう言われて、部屋から出る。

「お待たせ!」

「・・・・。」

「ほー・・・見違えたなー・・・。」

そう笑うこーさん。
良助くんは何も言わない。

「照れるな。」

玲子さんに叩かれて、ハッとした良助くんは、照れてねぇ!と怒っていた。
玲子さんに再び、お礼を言って、車に行ってから、良助くんにもお礼を言うと、恥ずかしそうに、おう。と言った。

「はい、お疲れ。」

倉庫について、こーさんにお礼を言って降りる。

「さ、行くぞ。」

そう言う良助くんの服の裾を掴む。
やはり、未だに罵倒されるのはきつい。

「・・・。」

良助くんは、黙ってそのまま歩いてくれる。
倉庫に入ると、いつも以上に視線が集まる。
それと同時に私の顔もどんどんと下がる。

「堂々としろ。」

良助くんに言われても、なかなか顔を上げられない。
良助くんは、いつもの場所へと行くと私を綺麗なところへと座らせてくれた。
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