冷酷な王さまは愛し方を知らない


城下はお祭りの雰囲気に活気付いていた。
暑くなる前、夕方から城下をあげてのお祭り“星空祭”。

屋台や灯籠煌びやかな時間と、一斉に明かりが消え月明かりだけの中星を大切な人と見上げる。
星空祭のこの時間、共に星空を見た二人は幸せになれると言われている。



「今年こそは、好きな人と星空が見れたらいいのになぁ」



花屋にやって来ていたユナがうっとりした様子でそう言った。



「相手は?」

「これから探すの」



胸を張ってそう言う。
順番が違うような気がするけれど、あえて言わないでおこう。
ユナは毎年そう言ってる気がする。


確かに、私もそんな日がくれば、と思うけれど。



「リズも忙しいんでしょう?」

「そうね、1週間前くらいから、花の装飾の一角を任されているからその準備を」


城下の店にはそれぞれお祭りの時の役割がある。
日頃の花屋の業務に加え、お祭りの準備にと一年で忙しい時期だ。



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