冷酷な王さまは愛し方を知らない


「でも、残念だったね」

「え?」

「もう少しで、王妃さまだったのにね」

「またそれ?」

「だって、羨ましいのよ。王族の暮らしを少しでも経験できたんでしょ?」



私が戻ってからユナはずっとこんな調子。
でも、本当に、ユナみたいななりたい人を選んでくれたらよかったのに…。

でも……。
アルさまは、私を選んでくれようとしていた…。
クリスさんが言っていたのが本当だとしたら。



「星空祭には王さまも来られるんでしょう?たのしみ」

「消灯の挨拶を王さまがすると聞いたわ」

「きっとまた遠くて、ちゃんとは見えないんだろうな」



あまり公の場に出ないアルさま。
私も、今回のことがあるまではアルさまのお姿を知らなかった。
別に隠れているわけではないようだけど、すすんでお姿を見せる人ではないみたいだ。



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