冷酷な王さまは愛し方を知らない


星空祭当日。
夕方から始まったお祭りは、屋台に演舞に大賑わいだ。
舞台が設置され、そこでは民謡や演舞やらさまざまな演技が披露されている。

全ての灯りを消す、消灯の時間は太陽が落ち、暗くなってからだ。
暗くなると屋台は閉まり、舞台での演技も終える。


そこからが星空祭の本番だ。



全ての灯りが消された後、大切な人と星空を眺める。
そして、時が来ると用意しておいた紙灯篭に火を灯し願いを込め一斉に空に飛ばす。



毎年それはそれは幻想的な光景だ。
その灯篭が高く高くのぼるほど、願いは叶うと言われている。




大切な人。
本当は父と母と来たかったけれど、母の調子があまりよくないため私一人での参加になった。
父は母に寄り添い、家の窓から一緒に灯篭が上がるのを眺めるという。



陽が傾き、辺りが灯りの光だけになった頃。
舞台に、アルさまが登場した。
正装に身を包み、マントをお召しになっているアルさま。
側にはもちろんキースさんが控えている。

ひと月前くらいの事なのに、とても懐かしく思えた。



< 120 / 413 >

この作品をシェア

pagetop