冷酷な王さまは愛し方を知らない


再び、王城での生活が戻ってきた。
少しずつここでの生活に慣れてきたのか、日常が戻ってきたように感じる。


王妃への道のりはとても厳しい。
けれど、とても充実しているのは、これはアルさまのお側にいるための試練だと思えるから。



コツコツ…
窓をつつくような音が聞こえる。
不思議に思いながらカーテンを引くと、そこには小さな来客者。



「まぁ…、子ザル?」



首に赤い布を巻きつけた子ザルが音の正体。
可愛らしさに窓を開くと、その隙間を待っていたかのように中に飛び込んできた。


「わっ」



子ザルは小さくキキッと声をあげると私の身体に飛び乗りちょこんと肩に座った。
その首の赤い布には紙のようなものが挟まってある。

私はそっとその紙を抜き取ると開いて中を見る。
そこにはとても綺麗な字で文字が綴られていた。


『調査報告。今のところ目立った動きなし。定期的にこいつで連絡する コハク』



最後に名乗られた名に、これがコハクくんからの手紙だと知る。
じゃあ、この子がコハクくんとの連絡係になってくれる子ザルなのね。

コハクくんの相棒…。



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