冷酷な王さまは愛し方を知らない


「これから、よろしくね」



君はなんという名なのだろう。
声をかけ頭をそっと撫でてみると、その子ザルは嬉しそうに目を細め甘えるように頭を摺り寄せてきた。

可愛い…。



「君名前は?」



問いかけてみても、返事はない。
そうだ、と思いつき私は紙とペンを用意した。


コハクくんに返事を書こう。
そして、この子の名前を聞いてみよう。



『調査ありがとう。無理はしないでお願いね。子ザル可愛い。名前は何というの? リズ』



端的にそう書いた手紙をコハクくんがしていたように子ザルの首に通す。
優しく一度撫でると、子ザルは一度泣き声をあげ窓の隙間から一目散に出て行った。


コハクくんと私の契約が始まった。
アルさまを護るため。



私は頑張る。
きっと、守り抜いて見せる。




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