冷酷な王さまは愛し方を知らない


王さまは、なにを考えておられるのかしら。
こんなにも候補者がいるのなら、きっとなりたいと思っている人もいるはずだ。
私がいる必要なんて……。



「では、後は貴方付きのメイドにわからないことがあればお聞き下さい。後程お迎えにあがります」

「あ、あの…、えと、はい…」




しどろもどろになりながら答える。
訳も分からないまま連れてこられた。
何も持たず、両親への挨拶もそこそこに。


いつ戻れるんだろう。



「はじめまして、私リズさま付きのメイドに任命されました。セシリアと申します。よろしくお願いします」

「あ、あの、はじめまして…。よろしくお願いします」

「畏まらないでください。私は、メイドですので」

「で、でも…」



どうしたらいいのかわからない。
こんな風に、お世話を焼いてもらう事なんて今までないから。

畏まられてもとても困ってしまう。



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