冷酷な王さまは愛し方を知らない


「リズさま!とてもお似合いです!」



セシリアは弾けるような笑顔でそう言った。
鏡に映るのは、いったい誰だと見紛うようなドレス姿の私。
髪もセットされ栗色の癖っ毛の髪がこんなにも綺麗にまとめられるなんて。



「リズさま、用意は整いましたか?」



ノックの音の後、キースさんの声が聞こえてくる。
私は慌ててドアを開けようとして自分がドレスを着ていたことを忘れていた。



「キャッ!」



ドレスに足をもつれされて躓く。



「り、リズさま!」




べしゃんと倒れ込んでしまった私をセシリアが青ざめた顔で抱き起こしてくれた。
ガチャッとドアが開いた。




「なにをなさっているのですか」

「す、すみません…」



恥ずかしすぎる…。
ドレスなんて着慣れていないし。




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