冷酷な王さまは愛し方を知らない


コハクくん自身も、それがおかしいことだと微塵も疑ってはいなかった様子で。
それはとても、悲しくて苦しい。



「コハクくんがこれまでどんな人たちに従って来たのかはわからない。でも、今コハクくんがいる場所はここなの。アルさまが率いるこの場所なの」

「…」

「貴方はもっと、いろんなものを求めてもいいし、温かい場所にいるべきだわ。知るべきことがたくさんある。ちゃんと温かいものを食べて、温もりのある場所で眠って、それでアルさまを護って」



私たちはコハクくんを使い捨てたいわけじゃない。
汚れ仕事を押し付けたいわけじゃない。



「さ、温かいうちに食べよう」

「…俺が、食べていいの」

「もちろん。だってそれは、コハクくんのために作られたものだもの」

「……」



コハクくんがフォークを握り恐る恐る口に運ぶ。
一口食べるとハッとしたように目を見開き、次の瞬間がつがつと次々と口に料理を運び始めた。



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