冷酷な王さまは愛し方を知らない

少し休み、その後は馬車でゆっくりと城を目指した。
城も城下も変わりはないと聞いていたけど、実際でこの目で見るまでは不安だった。

お父さん、お母さん。サーシャさん・・・。
大切な人たち。
無事だろうか。

城についたのは、もうすっかり暗くなってからだった。
そのため、あまり城下の様子はわからなかったけど。


「リズ?大丈夫か?おい」

「え・・・あ、アルさま・・・すみません」

「どうした、様子が・・・。お前、熱があるじゃないか!」


頭がぼんやりとする。
そう思ったら、熱が出てしまっていたらしい。
アルさまが焦った様子で私の額に触れ、回りに声をかける。
私は、大丈夫だとアルさまに言いたいのに、視界がぼやけ、意識がうつらうつらとさ迷う。
そしてそのまま、意識を手放してしまった。


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