冷酷な王さまは愛し方を知らない


「どうしようか、まだ悩んでいるの。この間の中庭でのピクニックは楽しかったし」

「そうなんですね。そう言えば、今日はルナさまも中庭でお時間を過ごされているようですよ」



セシリアはそう話しながら私に紅茶を差し出した。
今、今なんて…。



「ルナさんが…」

「はい。先ほど中庭に出て行かれるのを見ました」




そんな…!
確かにもうすぐだろうと思っていたけれど、こんなにすぐ訪れるなんて。
どうするか考えている間に、取り返しのつかないことになってしまうかもしれない。
それだけは阻止しなければ。

私は考えるよりも先に部屋を飛び出した。
背中でセシリアが叫ぶ声を聞いた気がするけれど立ち止まってはいられない。


きっと、王妃候補としてらしからぬ行動。
廊下を走って階段を駆け下りるなんて。


それでも。
どうかどうか間に合って。



何度も通った中庭までの道は考えなくても迷うことなく向かう事が出来た。



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