冷酷な王さまは愛し方を知らない


こんな事なら。
もっと早くに相談するべきだった。

色々と余計な事を考えてしまったばっかりに。


間に合わなかったら私のせいだ。



花の死角に入って―――――



花を、人の心を穏やかにしてくれる花を犯罪に利用するなんて。
許せない。




花はそんなことに使うために咲いているわけじゃない。



中庭に出ると、キースさんの姿を見つける。
その少し離れた場所にルナさんとアルさまの姿を発見した。
まだ何も起きていない様子にホッとする。


だけど、私はルナさんが右手に光るものを握っているのを見つけてしまった。
王さまはルナさまの少し先を背中を向け歩いている。


いけない。



私は考えるよりも先に駆け出していた。




駆け出し、アルさまにぶつかるように間に入り込んだ。
同時に衝撃を感じ、腹部に激痛が走る。



「…なっ!?」



ルナさんが青ざめた顔で身体を離した。
手に持つナイフから赤い血が滴る。



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