うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
胸が苦しいのに熱い眼差しを向ける彼から、目を逸らすことができない。躊躇いがちに彼の大きな手が頬に触れ、一瞬目を瞑るも、すぐに瞼を開ければ副社長は甘い瞳で言った。

「ふたりっきりで過ごせる時間が幸せで、そしてこんな風にキミに触れたくてたまらなくなる。……これを恋愛感情の好きといわないのなら、なんだっていうんだ?」

「副社長……」

すると彼は目尻に皺を作って微笑んだ。

「日葵……改めて俺と結婚を前提に付き合ってくれないか?」

最初、この告白を聞いた時はあり得ないと思った。……でも今はそんなこと思わない。

「……はい!」

力強く返事をすると、再び抱きしめられた。

彼に背中や髪を優しく撫でられるたびに、蕩けてしまいそうになる。ずっとこのままでいたいと願うほどに。

ずっと誰かを好きになる気持ちも、恋愛することも、なにもかもわからなかった。

もしかしたら一生恋愛をすることなく、私は人生を終えるかもしれないと思ったほど。
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