うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
「え、なに?」

「どうしたんだ?」

騒がしくなる会場内。もしかして急な停電かなにかだろうか。

そんな心配が頭によぎった時、ドアの前の一ヵ所だけスポットライトが当たった。

眩しさに目を細めるものの、目に飛び込んできた光景に目が点になる。

「……嘘でしょ」

まさかの光景に口をあんぐりさせる私の隣で、廉二郎さんは頭を抱え込む。

さっきまでモーニングをかっこよく着こなしていたのに、いつの間に着替えたのやら……。

今の社長はタオルを頭に巻き、上下もんぺ姿。黒の鼻当てをつけて頬は真っ赤に染まっている。

そして手にざるを持ち、茫然としている招待客の前で音楽に合わせてそれはもう楽しそうにどじょうすくい踊りをはじめた。

愉快なメロディーと共に踊る、社長の姿に会場内は一気に笑いに包まれる。

社長……以前お話していたのは、冗談ではなく本気だったのですね。

手紙を読み終え、感動的な雰囲気のまま終わる披露宴が多い中、私たちの披露宴は爆笑の渦の中、幕を閉じた。


「どうにか無事に終わってホッとしたな」

「……はい」
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