僕はキミの心臓になりたい



クラス一人気者の彼が

知らない女子と自転車で2人乗りして

一緒に登校してきたのだから

みんな疑問に思う。



その答えについては私も知りたいと思ったが、

できるだけクラスメイトと接触は

避けたかったので、聞く術はなかった。



4時間目が終わって昼休みに入ると

2人組の女子が私の席へやってきた。



さっきの3人組とは別の女子だったが

好奇心が顔に出ていたことで

私の所に来た理由がすぐにわかった。



「ねーねー、相楽さんて羽賀と付き合ってるの?」


案の定な質問をされたが

私は名前も知らない彼女たちに

丁寧に答えた。



「付き合ってないよ」


「なら、どうして今日の朝一緒に登校して来たの?」



彼女の質問に答えようとした時

さっきの3人組の女子たちが

黒板の前に立っていたことに気づいた。



遠巻きにこっちを観察して

質問の答えを聞いているようだ。



「私が迷っていたところで

たまたま会って一緒に行っただけだよ」


「なーんだ。そっか〜」



誤解を招きたくなかったのでそう言うと

2人組の女子たちはそのまま受け入れて

去っていった。



それには安心したけれど

あの3人組はまだ私を見て耳打ちし合っていた。


その視線に気づかないフリをして

私は教室を出ていった。




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