[完] 空に希望を乗せて [長編]

勇気

「1年生みんな来てー」
はーい、とみんなそろって返事する。流石に入ったばっかでたるんでないなーと思う。運動部らしい。
「えっとー二年の遠藤です!遠藤奏。よろしくね!」
「こっちも二年の林里羽です!里羽先輩っちよんでね?双子やけ」
「で、里羽の妹で里奈です!よろしく〜」
「よろしくお願いしまーす」
やっぱ入りたてってかんじ。
「なんする?」
「なんしょーか。素振りとか?」
「それがいいね」
「じゃあみんな外でてー」
え?外にでるの?なんでだろ、体育館スポーツじゃないの?みんながキョトンとしてるもんだから里羽先輩がくすっと笑う。
「あのね、うちの学校さ、バドミントン部人数多いんだよね。だから最初のうちは外で基礎練習するんだよ」
あ〜ぁと、感嘆の声が出る。
「でも先輩!あいり中学からやってたんですよ?」
愛莉ちゃんが異論を唱える。
「ごめんね愛莉ちゃん。でも伝統だから。しかも受験生で半年位やってないでしょ?」
「そうですけど基礎くらい覚えてますよ!」
「愛莉ちゃん。伝統なの。しかも周りからもずるいって思われるでしょ?」
愛莉ちゃん、敗れたり。絶句してこく、とうなずく。しゅんとしてる。
「だからみんなと練習してね。」
愛莉ちゃん、目付けられたな…。先輩に目つけられるなんて恐ろしい。でもすごい勇気。私にはない。ちょっと落ち込む。ふっと視線を靴へ落とす。駄目だなぁ。いや、落ち込んじゃだめだ!顔をあげなきゃ!ちゃんと上をむくんだ!高校ではそうするって決めたんだもんっ!私はちゃんと目線を上げた。
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