[完] 空に希望を乗せて [長編]

初めての観戦

ついにスプリングカップが始まった。
「コールします。女子シングルス、試合番号1。弓場高校木原希美さん、石橋高校光田沙耶さんの試合を第5コートで行います。選手は審判用紙を取りに来てください。」
わー、と弓場高校の生徒がわく。うわ、ついにだ。
「希美先輩!頑張って下さい!」
「希美ファイト!」
と先輩たちから希先輩に向かって応援の声が飛ぶ。先輩が降りていく。さっと叶恵先輩が振り返って声をかける。
「よし、みんな5コートいくよ!」
みんながすくっと立ち上がる。その後、聖那先輩&藍先輩ペア、夢乃先輩&千春先輩も呼ばれた。私、愛桜、美結、絢音の4人は聖那先輩&藍先輩の応援に向かう。あとの4人は夢乃先輩&千春先輩の方へ。周りから「頑張れ!」とか「ファイトー!」と声が飛び交う。私たちも
「聖那先輩頑張って下さーい!」とか「藍先輩ファイトです!」とか少しは声を出すものの、やっぱり恥が大きくてなかなか声が出ない。愛桜の声はもともと高いから、すごく通りやすくて、ちょっと大きな声を出すたけで体育館中に反響する。反響しては愛桜は恥ずかしそうにしてるけど、その目は明るくて、なんだかスッキリしていた。私も、ちゃんと応援したい。そう思って、
「藍先輩、聖那先輩頑張って下さい!」
と大声出してみた。周りからの目を感じたけど、ちょっぴりすっきりした。

その戦いは、先輩たちが勝ち、次は星宮高校で強いところと当たるらしい。
「コールします。女子ダブルス試合番号9番。弓場高校、村下さん、遠藤さんと南京高校、中村さん、小川さんの試合を第4コートで行います。選手は審判用紙を取りに来てください。」
再び弓場高校がわく。
「奏先輩ー!ファイトです!」
柚香ちゃん。すご。
「依先輩も頑張って下さいね!」
愛莉ちゃん。うん、堂々としてる。
「うん、がんばる!」
「ありがとー」
快活な先輩。この先輩たちはカナ先輩たちの気持ち、知ってるのかな。気になってカナ先輩を見る。なんだか辛そうな顔してる。まあそうだよね。当たり前だよ。辛いに決まってる。人数制限ってなんて残酷なんだろう。
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