[完] 空に希望を乗せて [長編]

新人戦と体育会と

「もうすぐ新人戦がはじまります。今大会は団体戦しかないのですが、2年生から10人程度選手になると思います。」
また選手制度か…。カナ先輩の方をちらりと見る。か、顔が死んでる・・・。
「さらに体育会も近いので、練習も大変になると思いますが、みんなで頑張って行きましょう!新人戦のメンバーは来週発表します。」
この言い方。この先生の好きなとこ。行ってください、ではなくて行きましょう。生徒だけが頑張れよ、ではなく、みんなで頑張っていこうね、みたいな、自分も頑張るからね、みたいな団結感。私は好き。

「あーあ、もうすぐ体育会かー」
「え!?こっちまだなん?うちんとこもう終わったばい!2回目かよ〜」
「まじで?やばー」
「高校の体育会ってどんななんだろー」
「高校の体育会はホント、すごいよー」
「あ!カナ先輩!そうなんですか?」
「うんうん、ホントリレーもすごいし、ダンスのクオリティもすごいしねー」
「えぇダンス?!」
「えー?美結苦手なの?」
「うん、リズム感ないから」
あらま、とみんな苦笑する。
「美結ちゃん、ファイト!」
「はーい!とりあえず頑張ります!」
「逆に愛莉はダンス得意ー!」
「そうなん?意外やなー」
「茉莉酷くね?!むかーしダンスやってたんだよー!そのあと中学でバドにハマったの!」
「なるほどなぁ」
その1週間後、弓場高校の体育会の練習が始まった。うちのクラス、1年3組は青ブロックだ。他の学年は、2年4組、3年7組が同ブロック。
「おい青ブロック声だせぇ!!」
「おー!」

3年生の迫力に正直たじろいだ。よく考えたらそれはそうだ。人生最後の体育会。そりゃ気合いも入るはずだ。これから、3年の先輩がたに、迷惑かけないように、後悔しないように頑張ろう。
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