[完] 空に希望を乗せて [長編]
第十章

3年生の卒業

「3年生はもうすぐ卒業です。今日は今までお世話になった先輩たちにメッセージを書いてほしいと思います。」
うわ…ついに卒業なんだ…。寂しいな…。ときどき先輩たち来てくれてたからホントに寂しい。
「ねー美結は誰から書く?」
「うーん、やっぱ希美先輩やな〜」
「よね〜希美先輩可愛いし、バドミントン上手いし。」
「でも留奈先輩も優しいよ〜」
「まーねー。藍先輩も好きやわー」
3年生の先輩たち。ホントに優しくて、かっこよくて、バドミントンも上手くて…。はぁ。本当に寂しくなる。それぞれに対していろんな思い出があって、なんだか切なくなる。全員に違うメッセージを書いた。

「今日で本当に先輩たち、いなくなっちゃうのか…。」
「そうだね…。」
「なんか嫌だな…」
「それな!」
「あ、3年生来たよ!」
1、2年生が花道をつくってその間を3年生が通る。拍手喝采。どっと涙の波が押し寄せてくる気がする。ふと隣にいる美結を覗き見る。何となく水の膜が張っているような。なんで卒業って涙腺が刺激されちゃうんだろ…。お母さんが言うにはムードの問題らしいけど。なんでわざわざ泣くような儀式を作るのかな…。まぁお別れ出来ない方が悲しいけど。
「あ、先輩来たよ〜」
「卒業おめでとうございま〜す」
バド部の1、2年生のとこから言葉が真ん中に収集されるように言葉が飛びまわる。先輩…。もともと3年生って立場で大人っぽかったのに、今はもう大人の顔だ。高校生って中3とは違って大人の仲間入りをする感じ。かっこいい。
「せんぱ〜い!」
「ご卒業おめでとうございます!」
「ありがとう」
先輩の優しい笑顔が涙腺を刺激する。先輩たちはもう随分泣いたのか、目が真っ赤になっている。卒業なぁ…。切なすぎる。
そしてその日から先輩は学校に来なくなった。当然なのだけど。
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