[完] 空に希望を乗せて [長編]

スプリングカップ

只今よりスプリングカップを開始します。選手の皆さんは下まで降りてきて下さい。いつもお馴染みの放送が入ってとんとんみんなで階段を降りていく。このとき高まる緊張感。学校ごとに並んだら上目遣いで前を見つめる。もうすぐ、数少ない試合が始まってしまう…。

「はぁ、いよいよだねー」
開会式を終えて上に戻ってくる。緊張でみんなの顔が強ばっている。
「みんな深呼吸深呼吸!」
星野先生のひとことにみんなスーハースーハー息をする。
「みんななら大丈夫!いっぱい努力してきたの私知ってるよ〜?だから頑張れ!」
先生のおどけた表情にみんな笑顔になる。
「よし!頑張ろー!」
「「おー!!」」
青春だなって思った瞬間だった。

対戦相手は石橋高校、南京高校、春山高校、水町高校の4校。最初は石橋高校。コールされてから下に降りる。
「先輩!頑張ってくださいっ!」
「茜ちゃん…。ありがと!」
「せんぱーい!頑張ってください!」
「ファイトです!」
「絶対勝ってきてくださいね!」
うわぁ、なんか感動。
「只今より石橋高校対弓場高校の試合を行います。気をつけ、礼!」
「「お願いします」」
それぞれ握手を交わす。

第一シングル、私。第一ダブルス、愛桜と絢音、第二シングル、美結、第二ダブルス、桃と柚。第三シングルが愛莉。正直言って1本をする時点で大体どちらが勝つか分かる。打ち方がおかしかったりクリアが飛んでなかったり。今回の相手、結構打ち方が綺麗じゃない。フォームがちゃんとなってない。行けるんじゃね?
「ラブオールプレイ!」
そして始まった試合。高めのサーブをあげる。相手のドロップ。クロスヘアピンで返す。大体はこれで崩れる、のだが!相手は拾ってきた。すごい根性。ヘアピンで返ってきたのをはね上げする。え、走った??そ、それありー??!!?

ナインティーンナイン。
流石に私が勝っているらしい。フォームって案外大事。ただ、相手は必死に食らいついてくる。何この子。もう少し磨けば強くなりそう。
「志保里〜!頑張れー!」
相手は志保里ちゃん、と言うらしい。
「茉夏ファイト!集中集中!」
おし!頑張ろ!相手が真剣に挑んでくれる方がやる気になる。

結果は勝ち!ほっとする。
「ありがとうございました!」
の握手の時
「頑張ってください!」
と声をかけられた。
「あ、ありがとう!志保里ちゃんもね!」
「え、なんで名前…。」
「バッチリ応援されてたじゃん!」
「あ…」
可愛らしく顔を赤らめる。うわぁ可愛い〜
「じゃあ夏の大会頑張ろ!」
「うん!そっち名前は?」
「茉夏!よろしく!」
「うん!」
照明に照らされた志保里ちゃんの笑顔がキラキラ輝いていた。

最終結果。弓場高校は3位。微妙だな…。
「やばいな…次は勝とうや!」
「おお!」
正直言って内心は焦っていた。時間が無いのに。と。

「「あ!」」
親に連絡しようと携帯を触っていると志保里ちゃんが出てきた。
「ね、連絡先交換しない?」
「いいよ!」
・・・。
「ありがとう!」
「じゃあね!」
初めて携帯持っていて良かった、そう思えた。
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